ネパール・ヒマラヤの山岳地帯にある「AX010」と呼ばれる氷河を名古屋大が15年ぶりに現地調査したところ、以前よりも縮小が加速していることが明らかになった。1970年代からの調査結果と過去の気象データを使って解析した結果、縮小の主要因が気温上昇であることも判明した。
付近の気温は近年上昇が目立っており、この15年で氷河の表面の高さが50メートル下がったところもあった。地球温暖化による気温上昇の影響を直接受けやすい氷河の例といえるという。
「劇的に縮小していた。この写真を見てお帰りいただいても構わないくらい、インパクトがある」
5月に千葉市で開かれた学会、日本地球惑星科学連合大会。藤田耕史・名大教授は、研究発表の本題に入る前に2枚の氷河の写真を示し、こう紹介した。
1枚は2008年、前回の調査で訪ねたときの写真だ。
もう1枚は昨年11月の調査で撮影した最新の写真。谷間に見えていた氷河が大きく後退し、岩肌があらわになっていた。
この氷河「AX010」はネパール東部の標高5千メートル前後に位置し、ヒマラヤでよく知られた氷河の一つだ。名大の研究グループが78年から繰り返し調査を続けてきた。
08年の時点でも大きく縮小しており、当初からの変遷をとらえた写真は温暖化問題の啓発にも使われてきた。
それが今回訪れると、さらに…